東芝ニュースでよく聞くWH(ウエスチングハウス)ってなに?

WH(ウエスチングハウス)とは?


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2016年3月29日、東芝米原子力発電子会社WH(ウエスチングハウス)が米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。一連の東芝問題でよく目にするウエスチングハウス。その問題はそもそも何か。なぜこのように損失が発生し、今もなお損失が膨れ上がり続けているのか。最初のきっかけとなったウエスチングハウス買収から、現在に至るまでをおって書いていく。


結論から簡潔に書けば、6,000億で買ったものが、その価値が2,600億もマイナスになり(2016年3月期)、さらに今回はゼロになる上にさらなる損失が重なり、追加で6,200億のマイナスになる可能性が出てきている。単純な差し引きで考えれば、6,000億払って2,800億の負債を抱えたことになる。




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なぜ、こんなことが起きたのか


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そもそもの発端は2006年のWH(ウエスチングハウス)買収に遡る。イラク戦争新興国経済の成長により、原油価格が高騰し、また、地球温暖化対策も国際的課題になっていた。そこで注目されていたのが原子力発電である。世界の原発の大半は加圧水型で4分の3を占めており、東芝は4分の1を占める沸騰水型であった。


WH(ウエスチングハウス)は加圧水型を商用化しており、日本では三菱重工業が提携していた。そのウエスチングハウスが売りに出され、世界でもシェアが多い加圧水型を手掛ける三菱重工業が応札し、東芝も名乗りをあげた。ここで、東芝の判断に誤りが生じる。当初、三菱重工業が25億ドル(約3,000億円)の買収価格を提示し、入札をリードしていたのに対し、東芝は54億ドル(約6,000億円)もの金額で買収したのである。
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ここで会計に関する説明を簡単にする。企業買収をする際は、大抵の場合、現在のその企業の価値よりも高値がつく。これを会計上では将来の伸びしろやシナジー効果として、資産計上する。それが「のれん」である。のれんは日本基準では何年間かで定額償却を行う。その意図としては、買収後の効果として収益が伸びたことに対応して、のれんの価値を費用化するところにある。


しかし、国際会計基準では、こののれんは償却せず、価値が落ちた時点で時価に落とすという処理をとっている。実はこののれん償却不要に飛びつき安易に国際会計基準を採用しようとする日本企業もある。しかし、基準採用は、多大な労力と時間が要されるため、実際に採用しているのはグローバル展開をし、決算書も海外でそのまま通用するようにするための企業が多い。東芝もグローバル展開している企業であり、ここまでの規模の会社であれば国際会計基準を採用していることはのれん償却回避のためとは限らないであろう。


しかし、日本基準であろうと、国際会計基準であろうと、のれんの価値がなければ時価に落とす。これが減損である。要は買収時に想定したほどの収益が得られないと判断した時点で、その時点での効果を再測定し、実際の価値まで減額するのだ。これを不正に回避したところに今回の問題点がある。細かい手法についてはここでは述べないが、2016年4月に認めた減損の金額は2,600億円であり、それを当初は不正に回避しようとしている。


そのような中、さらにWH(ウエスチングハウス)は原子力サービス会社のストーンアンドウェブスターを買収している。このときの価値としての算定はゼロ円。支払額は260億円。しかし実際の価値はゼロどころかマイナス7,000億円であった。これが現在東芝で起きたていることである。


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東芝子会社は倒産?破産法の適用。


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 そのような状況の中でのWH(ウエスチングハウス)破産法の申請は承認された。破産法の適用をすれば事実上の倒産でありウエスチングハウスの経営は東芝の支配によってできなくなる。現在、買収・親会社・子会社の概念は、親会社が子会社を支配しているという状態によって判断され、支配している場合にはグループとして会計に取り込まなければならない。


これが連結決算である。そのため、破産法を適用することで、倒産となれば東芝の支配が及ばなくなり連結の対象からは外れる。また、この時点でウエスチングハウスから次々と出る損失をストップさせることができると考えたのが破産法の申請の意図であり、損切りである。


東芝子会社の倒産と東芝の負債への影響


 しかしながら、本当に損切りはできるのであろうか。一つ疑念が残っている。ウエスチングハウスの債権者からの訴訟だ。米国の破産法は日本の民事再生法に相当するものであり、そしてここでキーになるのが、東芝がWH(ウエスチングハウス)に対して行っている債務保証や損害賠償の負担契約である。


親会社が子会社の借入金などに対して保証を行い、信頼性を高めることがあるが、これを東芝が行っているため、ウエスチングハウスが破産法の適用によって事実上倒産し、債務や損害賠償を支払わない、支払う能力がないとしても、保証していた親会社の東芝にその請求が及ぶ可能性が残っている。債務保証は8,000億円であるが、損害賠償などにより、支払いはそれ以上になる可能性もある。損切りできるとは確定していないのが現状である。


 今後東芝はどこへ向かうのか。東芝が行おうとしていることは、損失が膨れ上がり続けるWH(ウエスチングハウス)を切り離し、もちこたえるための資金を集めることである。まずはこの切り離しがうまくいくかどうかに今後が左右される。


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