『グランドピアノ狙われた黒鍵』ありきたりな洋画に飽きた人


ピアノ好きにはたまらない!音楽&スリラーという異ジャンルコラボ映画


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 今回は、ありきたりな洋画に飽きた人におすすめする映画『グランドピアノ狙われた黒鍵』です。2013年にスペインで製作された作品です。


スペイン映画は、ハリウッドとは異なり、一癖も二癖もある作品が多いように思います。ハリウッドはどちらかというと、大衆向けのエンターテイメント作品を量産しているのに比べて、スペイン映画は芸術志向というか、作り手の個性をモロに反映したものが多いと思います。筆者は結構、スペインの映画が好きです。


というのも、ハリウッド映画は見てしばらくは楽しい気分ですが、数年もするとすぐに忘れてしまいます。ですが、スペインや、ヨーロッパなどの映画は、大作ではないもののどこかねっとりと心の隅に張り付いて何年も離れないような感じがあります。ヨーロッパ映画好きの方には、きっとわかってもらえるかと思いますが・・・。


ですので、ハリウッド映画のようなある程度、定型化したストーリー構成や、ヒーローものが好きな人はもしかするとこの映画は苦手かもしれません。あと、主演のイライジャ・ウッド目当てにご覧になった方は、彼のイメージと違って、失望してしまうかもしれませんのでご注意ください。それでも大丈夫だという人は鑑賞してみてくださいね。




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表現者の苦悩を表現。芸術家は狂気と紙一重?!


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 あらすじを簡単に紹介すると、イライジャ・ウッド演じる天才ピアニストは、師匠が遺品として残した超貴重なグランドピアノを弾くために、5年ぶりにステージに復帰します。なぜ5年も休んでいたかというと、昔ステージでミスタッチしてしまったトラウマに苦しみ、演奏できなくなっていたのです。妻は女優として活躍しており、その妻の後押しもあって復帰する運びとなりました。


 ステージで演奏するのは、『ラ・シンケッテ』という超難しい曲です。なんと、世界中でこの曲を演奏できるピアニストは彼を含めて二人しかいないとか。そのうちの一人は最近亡くなったので、今では彼一人です。そして、そのピアノに仕掛けられた’’あるもの’’を巡って、舞台上の彼に「一音でも間違えたらお前を殺す」という脅迫が届きます。絶対に間違えられないというプレッシャーの中で、天才ピアニストの演奏が続きますが、果たして・・・といった内容です。


 こちらあらすじを長めに紹介しましたが、この作品の脚本を務めているのが今年のアカデミー賞で『ラ・ラ・ランド』で監督賞にノミーネトされ、見事受賞したデミアン・チャゼル監督なのです。『ラ・ラ・ランド』では、監督と脚本をチャゼル氏が一人で務めています。そんな彼が脚本を書いたのですから、一筋縄ではいかないストーリです。手に汗握る展開ですが、ラストを見た後の本当のところは観客の想像力に任されていると思います。


 ここからは、ネタバレになりますので、未見の方は注意してもらいたいのですが、これ、完全にピアニストの妄想が描かれていますよね。高名な画家や詩人といった人々の持つ狂気を描いた作品だと思います。


つまり、命を狙う人物も、その助手も、実際には存在しておらず、舞台恐怖症のピアノストが演奏を完遂する上で登場させた’’妄想上のキャラクター’’なんだと思います。それくらい5年ぶりの舞台は彼にとって恐ろしいものだったのだなと思います。劇中、犯人とのやりとりなどで携帯をいじったりする場面がありましたが、あれをやりながら演奏を完璧にこなす姿に驚きました!


 脚本担当のデミアン・チャゼル氏もものすごい才能の持ち主ですが、この監督も音楽に造詣が深い才能の持ち主だそうです。監督自身が超難曲の『ラ・シンケッタ』を作曲したというので、驚きだと思います。


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賛否両論ありますが、芸術家の苦悩を知りたい方にはおすすめです!


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 劇中で、犯人が色々とピアノ演奏中の主人公に話しかけてきます。その話す内容が、いかにも芸術家が苦悩しそうなツボを抑えています。表現者の苦悩というやつです。


音楽に限らず、画家や作家、そしてそれらを目指す皆さんにとっては、共感できる部分もあるのではないでしょうか。天才が、狂気と格闘する様がとてもスリリングに描かれています。


主演のイライジャ・ウッドの名演も光ります。女優として活躍する妻も出てきますが、その妻の存在も、ピアニストの彼にとってはプレッシャーとなっています。


芸術家が誰かと生活を共にするなんてありえない、というようなことを周りの人間や犯人が暗にほのめかしたりしています。表面的には夫婦仲がよさげに見えていても、家庭生活という芸術的とは言えない体制を維持していくことの難しさを暗に語った映画だと思います。


それくらい、深いお話だと自分は思いました。とにかく、主人公の妄想がどこまで実際の出来事なのかわからず、それが怖かったです。


まとめ


 万人受けする映画ではないかもしれませんが、表現に関わる人や、音楽好きな人、スリラー映画のハラハラするようなお話の展開が好きな人には手に汗握る体験ができておすすめだと思います。
www.momochakei.com

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