読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おすすめ映画『東京物語』にみる、今も昔も変わらない家族の在り方とは・・・


小津安二郎監督の『東京物語』が世界一の映画に認定されました


f:id:mozzarellatan:20170303211715p:plain


 今回は、1953年公開の名画『東京物語』を紹介します。小津安二郎監督と、野田高梧脚本による本作は、イギリスの映画協会が発行する雑誌『サイト&サウンド』の中の、世界の映画監督が選ぶベストテンで堂々の第1位になりました。


2012年の出来事です。これはイギリスの映画協会が、10年に一度選出しているものだそうで、世界中の著名な映画監督が投票で選びました。膨大な数の映画作品の中から第一位に選ばれたということで、小津安二郎監督作品の世界的な人気の高さを我々日本人も思い知らされる出来事でした。


 あらすじとしては、広島の尾道に住む老夫婦が、都会に住む子供たちを訪ねてみるものの、日常に忙殺される子供たちはあまり両親を相手にすることができません。そんな中、老夫婦をもてなしてくれたのは、他人であるはずの戦死した息子の嫁でした。寂しい思いを抱えた老夫婦は、半ば子供たちに追い出されるように温泉旅館に向かいます。そして・・・。詳しくは本編で・・・!


 戦死した息子の嫁を演じる原節子さんの名演が光ります。原さんは、2015年に95歳で亡くなられましたが、本当に美しい昭和の女優さんでした。あの聖女のような雰囲気は、なかなか現代女性にはない独特の雰囲気だと思います。とても美しい女優さんで、あそこまでの風格の大女優は現代にはいないな、と個人的には思いますが、皆さんはどう思われるでしょうか。



[スポンサーリンク]



笠智衆原節子杉村春子の名演も見ものです・・・


f:id:mozzarellatan:20170303211733p:plain

 訛りのある味のある名演を見せるのが主演の笠智衆さんです。笠智衆さんは、出演する映画どれも少し言葉が訛っていて、観る者に独特の安心感を与えてくれる役者さんです。人柄の良さが前面に出ている役者さんだと思います。


 一方、娘役を演じる杉村春子さんは、大女優ですが、少し意地の悪そうで性格がきつそうな女性の役をやらせたら右に出る者はいないと思います。杉村さんは、他の映画でも少し意地悪な役やキツイ性格の役柄を演じていますが、本当にリアルで演技の上手い大女優だと思います。


代わりのきかない大女優とは彼女のことを言うのだろうと思います。原節子さんの少女のような雰囲気もそうですが、杉村春子さんのようないかにも意地悪な女性を演じさせたら右に出るものはいないと言う大女優も近年あまり見当たらないような気がします。そんな強烈な個性の俳優がたくさん出ていることもこの『東京物語』の大きな魅力かと思います。


 そして、何といっても、その大物俳優たちを相手に、絶妙な演出手腕をふるった小津安二郎監督の腕前がとても素晴らしいのだと再認識させられます。


小津監督の作品はたくさんありますが、この『東京物語』が一番、シンプルなストーリーながらも深い情緒を湛えており、いわゆる’’泣ける’’映画になっているのではないかと思います。小津監督のファンは日本国内にもたくさんいるかと思いますが、あなたが一番好きな小津作品は何ですか?(私は少し暗いですが、小津作品では『東京暮色』の有馬稲子さんの雰囲気なども好きです。)

[スポンサーリンク]


小津安二郎監督作品が、世界のクリエイターに与えた影響の大きさ


f:id:mozzarellatan:20170303211750p:plain


 世界中にファンのいる小津安二郎監督ですが、この『東京物語』も世界で様々な監督がオマージュ(敬意を表して、リメイク作品を制作する)を捧げています。最近では、山田洋次監督も『東京家族』というタイトルでリメイクしています。


 また、2013年に大ヒットしたドラマ『半沢直樹』では、香川照之さん演じる人物が劇中でこの『東京物語』を観るシーンがあったということもインターネット上では話題になったようです。


 製作、公開から半世紀以上を経てもなお色褪せない魅力があるからこそ、今でも世界中で話題になるのだと思います。また、海外の映画学校などでは、黒澤明監督、溝口健二監督などと並んで、映画の教科書として小津安二郎監督作品が紹介されることがあるようです。


つまり、世界の人にとって、映画のお手本であるということです。エンターテイメント性の高いハリウッド映画などは、見ているときはスカッとした気分にはなれても、鑑賞後の余韻が少ないということがあります。


ですが、この作品のように、古今東西に共通する人間の心の機微を丁寧に描いた作品というのは、時代を超えて愛されるのだなと感じます。鑑賞した後も、どこか自分にも経験のあるような居心地の悪さ、つまり親に対して不義理をしてしまった経験などを思い出して、身につまされる思いがします。そういった感情が国や人種の違いを超えて、多くの人々に共有されているのだと感じます。


まとめ


 国を超えて愛される小津安二郎監督作品ですが、小津監督自身は、戦争中にアメリカ映画をたくさん見て学んだという話を耳にしたことがあります。この『東京物語』も、古いアメリカ映画を下敷きにしてオリジナル作品として小津監督らが製作したそうですが、そういった人間の心の機微や、家族を思う気持ちなどは、人種などに関係なく、人類普遍にあるものだなと感じさせられます。

ブログランキング・にほんブログ村へ